【特別企画】小原とコムアイさんの対談を公開しました

YOM 屋久島オープンフィールドミュージアムとはなにか

屋久島は、文明が早くから栄えた東アジアでは例外的に、優れた自然が残された地域の一つです。
直径30km足らずのこの小さな島が、日本の縮図といわれ世界遺産に登録される要件となった多彩な自然環境をもつ理由は、海抜1936mという山の標高差によって亜熱帯・暖温帯・冷温帯と変化する気候と、たくさんの尾根と谷との複雑な地形がつくる環境の多様性にあります。しかし、よく自然の垂直分布帯が守られているエリアはアクセスが難しく、長時間にわたる登山が必要なため、おいそれとその面白さが体験できる場所ではありません。

安房からヤクスギランドへ続く県道屋久島公園安房線(通称ランド線)は、もともと国有林のための専用林道でした。営林事業が一段落し、屋久島の森林観光や登山が発展するとともにそのアプローチ路線に使われるようになり、単に時間の無駄にすぎない眺めが悪く車酔いしがちな悪路と思われてきました。ところが近年通行量が増えて県道に昇格し、それによる二車線化が進むとともに、車窓から実に素晴らしい山岳森林を展望できるように変わってきたのです。

またこのランド線沿線の国有林は、パルプ材としての照葉樹林伐採とスギ造林が進むなか、屋久杉の持続的な利用や観光道としての景観保全、水源林保全の重要性から、地元旧屋久町が陳情を繰り返してきたところでした。そのため、モザイク状ながら健全な森が意外なほど広く残されていました。一時は荒廃した部分も復活し、ヤクスギランドから淀川登山口までの路線も舗装が完備され利用しやすくなりました。

ときおりこのランド線の眺めの良いところで車を降りて、山岳景観や付近のあれこれを眺めていると、意外と面白いものが観察できます。
たとえば、中島権現岳や明星岳などの地質と関連して形成されてきたダイナミックな地形。二車線工事の法面を山崩れ跡と同じように見立てて元気よく侵入してくるパイオニア植物たち。尾立岳のヤクシマオナガカエデが優勢な二次林とヤクスギなどの針広混交林が隣り合う急斜面。
雲霧帯にはいるととたんに増えてくるコケの大群落。
これらはある意味深い静かな原生林よりも、より生き生きと生態系のダイナミクスとストーリーを感じさせる現場です。

このランド線は、実は自然を楽しみながら学ぶことのできる、エコツーリズムの素晴らしい場なのでないか。屋久島といえば大変な山を歩かなくてはならない印象から敬遠されている面もあるけれども、ここはむしろ労力をかけずにそのまま自然に対面することのできる、優れた野外博物館になるのではないか。こう気づいた時から、私たちのYOM屋久島オープンフィールドミュージアム構築は始まったのです。

春田浜

構想にあたって、このランド線の再評価を軸に、屋久島でも最も興味深い海岸生態系の観察できる春田浜、このエリアの要であり歴史や産業の興味深い事物を有する安房と春牧の里巡り、そして屋久島の代表的なヤクスギの森であるヤクスギランドと屋久島の知られざる自然保護の象徴である荒川84林班をひとつなぎとしました。これによって、一カ所で屋久島の全貌をコンパクトに体験することのできるエリアとしました。

第二章で埴生窯の山下夫妻を紹介しました。画家である山下あけみさんは、この埴生窯の日々と仕事ぶりを、マンガに描き綴り続けてきました。そこに描かれる日々と屋久島の(たまに種子島の)風景は知る人ぞ知る魅力にあふれるものでしたが、この屋久島オープンフィールドミュージアムに先立ち、屋久島環境文化村財団の助成によって製作された『ヤクスギランド線絵巻』にそのわざを発揮していただいています。この本は、表紙をはじめ、各章のメインビジュアルをこの絵巻を基本としました。
とはいえこのガイドブックの完成度は十分なものとはいえず、まだまだ伸びしろを残しています。今後とも屋久島野外調査研究会では、オープンフィールドミュージアムとしての屋久島を様々な形で楽しく、面白く、深いものにしてゆきたいと考えています。

屋久島って、ホントおもしろい。

オープンフィールドミュージアム
ガイドブック表紙
第1章〜第8章に分けて詳しく解説

屋久島がどうも⾯⽩そうだと感じている⽅、あるいは家に帰っていっそう興味が深くなった⽅のためのガイドブックです。

旅⾏前に調べていた有名なものは⾒た、でもそのとき途中で⾒た不思議なものが気になって仕⽅がない。あるいは、帰りがけ誰かが話したあの⼀⾔がどうも⽿から離れない。そんな⽅にはおすすめです。

屋久島は、世界遺産になるほどの事物が、わざわざ集めてこなくとも、⼩さな島の中にあるべき事物が残され、いるべきものが棲息しています。そう、これこそ『野外博物館』です。それも驚くほど多様な⾯⽩いものがズラリとそろった博物館なのです。

屋久島が世界遺産になった原因のひとつは「⾼い⼭がある」ということです。⼭に登れば標⾼と地形がどんどん変化して、⾵景も、気温も⾬も、⽣き物もがらりと変わります。⼭奥を⻑時間歩くだけではない、屋久島の⾯⽩さ・味わい深さを体験してもらうしくみの⼀つとして、私たちはこのYOM ( 屋久島オープンフィールドミュージアム安房・春牧)を創りました。

お、ガイドブックの販売については現在準備中となりますので、販売する際にはFacebookページやこちらでお知らせを改めてさせていただきます。

お問い合わせ
オープンフィールドミュージアムに関してのお問い合わせはこちらまで

yakushimadmc★gmail.com
※★記号を@記号に置き換えて下さい

オープンフィールドミュージアム × ワーケーション!

屋久島の面白さ・味わい深さを体験してもらうためには、ぜひワーケーションとあわせてみることをお勧めします!

今はまだコロナ禍で受け入れ態勢も整っておりませんが、オンラインイベントの参加や体験レポートを読んで気持ちをふくらませていただき、事態が収束した際には是非お越しください!

屋久島ワーケーションについてのご挨拶はこちらから。

屋久島ワーケーション