今までに国内90以上の島を旅した“島ライター”の有川美紀子さん。
屋久島には今まで2度訪れたことがあるそうです。過去に他の島でのワーケーション体験もあるそうで、では屋久島でもぜひにということで今回体験してもらいました。さて、屋久島でワーケーションしてみたらどうなる? 有川さんの感想は?
今回は1万字近い超大作!ワーケーションの行程や体感したことが中心の前編と、宿や美味しかったもの中心の後編でお伝えしていきます。それでは後編もたっぷりとおたのしみください!
目次
今回、4つの宿に泊まりました。それぞれの感想など。ただ、たった一晩泊まっただけの個人的な印象であることをご承知おきください。コーヒーが項目に入っているのは、私にとって仕事のお供としてコーヒーは必須だからです。
旅人の宿・まんまる

| 項目 | 評価 | 所感 |
|---|---|---|
| フリーWi-Fi | ◯ | |
| 作業机 | ◯ | 椅子はビジネスチェア |
| 飲み物 | ◯ | ポットと緑茶ティーバッグ |
| コンセント | ◯ | 机周りには1つだったので 充電とPC使用を考えるともう1つ欲しい |
| バス・トイレ | △ | トイレは室内にあり。風呂は共有 |
| Co-warkspace | △ | 2020年10月にはなかったが食堂を改装中 |
| コーヒー | ✕ | インスタントなどもなし |
| 食事 | ◯ | 屋久島の食材をていねいに料理。写真は朝ごはん |
こちらでは面白い話を聞きました。
宿は中庭を囲むように2列あり、和室、洋室、大和室があるそうです。こちらの若主人・千々岩孝道さんはカメラマンでもあるそうです。
カメラマンになりたいなぁと思い、時間があると屋久島のあちこちで写真を撮り、ポートフォリオにしていたところ、まんまるにフランス人がワーケーションしにやってきました。その人はカメラマンだったそうで、ポートフォリオを見てもらったそうです。そうしたら「パリの国際写真祭(展示会)に出展しないか?」と誘われたのだとか。
そこで出展してみたら、フランス・アルルのギャラリーから声がかかり、契約する運びになったのだというです(と、私にはかなり経歴を省略してお話くださってましたが、上の本人のホームページを見ると、海外でカメラマンのアシスタントをしたりと経験を積んでいらっしゃる様子)。
千々岩さんはまんまるに泊まっていたフランス人のカメラマンをパートナーとして「屋久島国際写真祭」という写真展を屋久島ですでに3回開催しています。
さらに、今、まんまるをワーケーションの宿にしようと構想中だというのです。前述のフランス人カメラマンがまんまるに長期滞在しながら仕事する姿を見て、こういう旅があるのだと思ったことがきっかけとか。
だから、海外から屋久島に興味を持つ欧米人を招く動線を作れないかと考えていたとのこと。
しかし新型コロナが広まったため、今度はこんなプランを話してくれました。
「リモートワークで仕事しながら屋久島に滞在する方の、4〜5日は仕事するとして空いた日に写真のワークショップができないかと思ってます」
千々岩さんならではの屋久島撮影スポットへ行き、撮り方指導を行う。屋久島でいい写真を撮りたい!という人は思いの外多いのだそうです。まんまるには大きな和室があるので、最終日には大画面でそれぞれの写真を投影して発表会をしてはどうか……など、アイディアは広がります。
自然もですが、屋久島の伝統文化も撮りたい人は多いので、たとえば島にただ1軒残る、伝統的な製造法でサバ節を作る工場の撮影なども組み込んで、屋久島の歴史や習俗も知ってもらえたらと千々岩さんは語ってくれました。
仕事して、疲れたら部屋の外に出て庭で海を見ながら深呼吸。ネコをモフりながらネコ吸い(ネコ好きなら分かりますよね)。最高じゃないですか。
ネコ飼いとしては、家のネコを思い出して里心がつくけど……。

ロッジ 八重岳山荘

| 項目 | 評価 | 所感 |
|---|---|---|
| フリーWi-Fi | ◯ | |
| 作業机 | ◯ | |
| 飲み物 | ◯ | ポットと緑茶ティーバッグ |
| コンセント | △ | 机の周りにはなし。延長コードが必要かも |
| バス・トイレ | △ | トイレ、風呂は共用。洗面所はコテージ外 |
| Co-warkspace | ◯ | 川沿いのオープンコテージのような場所が使える また新たに川沿いにバルコニーを造る予定 |
| コーヒー | ✕ | インスタントなどもなし |
| 食事 | ◯ | 屋久島的な和食 |
到着が18時半過ぎていたので、到着時にはロッジの全体像がよく分かりませんでした。
朝になってみて、その素晴らしさに気が付きました。
宮之浦川が見渡せる……! すぐ降りて川遊びできそうです。渡り廊下は森を歩いているような雰囲気。そのすぐ横も清流がチョロチョロと流れていて、心地よいです。宮之浦川を見下ろす場所にはハンモックもあったりして、1日ここを拠点に川遊びしたらとても楽しそう。
夕食にバーベキューを選択した人は川沿いの小屋のようになっているところで食べられるようなのですが、昼はそこを使えればPC作業ができそう。川を見ながら作業ができれば最高かも。
ただ、私が泊まったときはタイミングが悪く、ものすごく冷え込んで、夜は部屋で暖房をつけたくなるほどでした。こんなこともあるんですね。
夏だったら川沿いのコテージでなら水音を聞きながら窓を開けてスヤスヤ眠れそう……。


サウスビレッジ

| 項目 | 評価 | 所感 |
|---|---|---|
| フリーWi-Fi | ◯ | |
| 作業机 | ◯ | 室内にはなし、施設内には至るところにあり |
| 飲み物 | ◯ | 室内にはなし、共用キッチンにいろいろあり |
| コンセント | ◯ | |
| バス・トイレ | △ | トイレ、風呂、洗面所は共用 |
| Co-warkspace | ◎ | 施設内あちこちにあり |
| コーヒー | ◯ | 共用スペースにインスタントがあったような? |
| 食事 | ◎ | 朝のみ |
元ユースホステルだった名残があちこちにあり、全国あるいは各国を旅している旅人がとまり木のように休んでいくムードが満載の宿でした。
ホームページを見ると、長期滞在に特化しているようで泊まれば泊まるほど安く泊まれます。移住したい人向けの長期プランもあるようです。
ということは当然、ワーケーションという言葉ができる前からPC持参で旅するリモートワーカーを受け入れていただろうことが想像できます。敷地内のそこかしこにコワーキングスペースがあり、座りやすい椅子と机、あるいはソファ、また立ったまま仕事したい人用のスタンドデスクまで作られていました。
一人で集中したい&過ごしたいときと、誰かと話したいときに使い分けがはっきりできるようになっていて、長期滞在の旅人のニーズを良く分かっているなーと思いました。
私は小笠原に2週間〜1ヶ月という単位でよく長期滞在していましたが、そのときに過ごしたような、長期に安く気楽に、自分流に楽しめる空気をすごく感じました。

ゲスト用のキッチンは「いろり庵」という共有のスペースがあって、そこはキッチン機能だけではなく、ゲストもゲスト以外の島の人も自由に集える場所のようです。冷蔵庫やフリーのお茶などがおいてあって、今まで泊まった人が残していったものやメッセージ付きのものもあって和みます。
お風呂は五右衛門風呂、檜風呂、シャワーと3種あったので、混み合ってもどこかには入れそう。
ワーキングスペースでちょっとだけ仕事していると「こんにちは」と若い男性がPCを持って現れました。長期滞在スペースの宿泊者かな? やがて、ZOOMかなんだかわかりませんが、海外の人たちと英語でオンライン会議してました。
テントサイトがあって、長期滞在すると、テント付き(+2000円)にもできるそう。テントを自分の個室代わりにして、適宜使い分けするゲストもいるんですと。
こういう宿を造ったオーナーはきっと旅人なんだろうと思う。時間がなくて朝ごはんのときにちょっと話しただけだったけど、オーナーさんともゆっくり話したかったです。
サウスビレッジの朝ごはん。個人的には朝ごはんはこれが一番美味しかった!
ずっとしっかりとした和風の朝ごはんが続いたので、ていねいな洋風スタイルがうれしかったです。屋久島の農産物をうまく取り入れつつ、味付けもちょうどよく量も多すぎず、少なすぎず。

サウスビレッジ朝ごはん。ぽんかんソーダブレッド、かたやき卵、フライドポテト、きのこと畑のピーマンのソテー、グリーンサラダ、グァババナナスムージー。
四季の宿・尾之間

| 項目 | 評価 | 所感 |
|---|---|---|
| フリーWi-Fi | ◯ | (道路下の離れは少し電波が弱いそう) |
| 作業机 | ◯ | 室内と、食堂にあり |
| 飲み物 | ◯ | 室内はポットと緑茶ティーバッグ 食堂はドリップコーヒー(100円) |
| コンセント | ◯ | 室内、食堂共にあり |
| バス・トイレ | ◯ | 洗面所、バス・トイレ室内にあり |
| Co-warkspace | ◎ | 食堂を利用できる |
| コーヒー | ◯ | 食堂にドリップコーヒーがある |
| 食事 | ◎ | 屋久島の素材を過度にならない味付けで提供、美味 |

最高のマウンテンビュー。モッチョムのパワーを直撃で受けそうな宿です。神高い山に見守られている安心感があります。
到着した時は青空で、その圧倒感、美しさ、迫力、息を呑むほどでした。
部屋の机はPC作業するのに丁度いい高さ。
施設全体にオーナー夫妻の心遣いが行き届いていてとても過ごしやすかったです。かわいいわんこもいました。
食事が終わると食堂がコワーキングスペースとして使えて、モッチョム岳のパワーを浴びながらよい原稿が書ける!(に、違いない)。
そして、私が泊まった部屋は……モッチョム岳を見ながら入れるアウトバスがあったのです!!
室内に適温適量でセットできるリモコンがあるのも素晴らしい。
足を伸ばせる広さで、目の前にドーン! モッチョム岳。最高にストレスが抜けました。
長期滞在者用に自炊できる部屋もあるようで、泊まれば泊まるほど安くなるそうです。足があればAコープ(生協の売店)も近いし、向かい側に「やくしま果鈴 山のおやつ工房」があります。
1ヶ月ぐらい滞在したい……!


四季の宿・尾之間の食事は和風で、夜の炭火焼きも朝食も素材の味を活かした味付けでとても美味しかったです。1つ1つに手がかけられていることが感じられてひと噛みごとに美味しい食事でした。
朝ごはん:サバのひもの、温泉卵、肉の代わりに大豆が入った筑前煮のような煮物、梅干し、ピーマンとナスの味噌和え、漬物、たんかんジュース、味噌汁。


番外編:GUEST HOUSE VIEWS

ここは屋久島の軽井沢?! 小笠原で行ったら宮之浜道?! と誰にも分からないようなことを思いながら到着したのは「GUEST HOUSE VIEWS」。
ここは素晴らしかった! 泊まりたい。海が見える高台にあり、オーシャンビュー、マウンテンビューいずれもが楽しめるように工夫されています。周りが非常に静かで、おそらくは自然の音しか聞こえないでしょう。わんこが2匹、屋久犬の雑種だそうです。
このゲストハウスは至るところにオーナー・石川祥二さんのこだわりが貫かれています。このゲストハウスは木か金属、自然に還るものしか使ってないのだそうです。
コロナ禍前は海外からのゲストもとても多かったそうです。国内外、いずれのゲストもたいていの場合、予約時に「Wi-Fiは飛んでいますか?」と電波状況を確認するとのことで、それ用のアナウンスをしているわけでもないが、ワーケーションに利用している人が多いようです。
静かで日当たりの良い室内は、宮崎から取り寄せた全てふしのない木を使っているそうです。
床は竹。竹を使って床作れる? と思うでしょうが、できてました。ぜひ実物を見てみて。インテリアもシンプルだけど上質。音楽を聞きたい人のためにAlexaを置いています。
ここに泊まって……。ある1日は窓から緑と海を見ながら仕事をして。
夜は満月の下、庭でバーベキュー。
深夜までおしゃべりして、次の日は琉球畳の寝室で寝坊。
翌日は車で海岸まで出かける〜〜。そして次の日は沢登り! そんな妄想が頭をよぎります。
一棟貸しなのでほかのゲストに会うこともないし、滞在中はすべて好き勝手に過ごせます。
足さえあれば……。自炊用の買い物はAコープに行けるし、温泉にも行ける。
しかも、数名で長期滞在すれば1泊6000円〜で滞在できるような?!
1ヶ月ぐらい泊まりたい! 本の1冊ぐらいすぐ書けそう!(……たぶん)
私たちが訪れた半月後ぐらいに、庭にサウナテントが設置されたそうです! 明日にでも行きたい気持ち。
ヒトメクリ 屋久鹿レッドラーメン

カフェスマイリー シフォンケーキ

ボンクラード ワンプレートランチ

味徳 とんかつ定食

やくしま果鈴 山のおやつ工房





島ライター、横浜在住。 国内外90以上の島をめぐり、 特に小笠原と縁が深く30年以上通い、5冊の著作あり。 屋久島も小原さんに案内してもらい、今回で3回目。 実に20年ぶりの来島。

