2021年冬~春に主にYOM安房春牧エリアで録音した留鳥の声をまとめてみました。
写真・音声:福留千穂
文:福留千穂・小原比呂志)

藪の中のサルトリイバラのつるで警戒するウグイス。
人里や山頂部の灌木帯のような、藪に木立が突き出るような環境に棲む。屋久杉ランドのような深い森林の中でも、倒木のギャップや伐採跡などには現れるので、環境というより立地の好みなのかもしれない。
「ジャッ、ジャッ、ジャッジャッジャッジャッ、」
0:24あたりでヒヨドリが叫ぶ。最後に遠くでウグイスの別個体が囀る。
「ホ~~ホケキョッ!ケキョケキョケキョケッキョ、ケキョケキョ」
この後半の鳴き方が警戒音で、俗にウグイスの谷渡りと呼ばれる。「危険なものが来たぞ!」と叫びながら谷を越えて向こうへ逃げてゆくイメージ。0:10あたりで囀るのはヤマガラ。

海岸のクロマツにとまるイソヒヨドリ。磯でフナムシをとらえたり、里地で畑のバッタ類を狩ったりしている。初夏によく街中の小高い建物の上などにとまり、よく響く声で高らかにさえずっている。

カケスは好奇心が強く、知能も高い。ほかの生き物に関心が強いようで、トビの声、イヌの吠え声など、様々なものの鳴きまねをする。森の住人で、夕方などよく3~4羽が集って会話をするようにやかましく鳴きかわしている。ドングリを貯食する鳥として知られ、リスを欠き中型のネズミも少ない屋久島では、ブナ科樹木の種子散布者として不可欠な存在らしい。

里地の畑まわりで高らかにさえずるホオジロ。はっきりしているわりに言葉にしにくいフレーズで、様々な人がこれを聞きなそうと試みているが、鳴き方のバラエティが豊かなこともありなかなか納得のゆくものがない。この個体のさえずりは「ちょっちょスイーツto be?」
※聞きなす=鳥の鳴き声に人の言葉を当てはめてフレーズにすること。
ウグイス:「ホ~ホケキョ(法、法華経)」
ホトトギス:「トッキョッキョカキョク(特許許可局)」など

よく森の高いところを飛びながら「ピリリ! ピリリ!」とさえずっている。「山椒は小粒でもピリリと辛い」からサンショウクイと名がついたというのはバードウォッチングの会の定番ネタ。ヤクシマカラスザンショウにとまっているのを観察したことがあるが、果たしてその実を食べたかどうかはわからない。

春告げ鳥のイメージがあり、春の温かい雨が降り出すと、とたんに「シシシシシシシシシシシシシシシッ」と渓流谷沿いの藪の中でさえずり始める。ウグイスに近い種で、ミソサザイやヒガラと並んで「最も小さい小鳥」として知られており、声もなんだか虫の声のような印象。
「シシシシシシシシシシシシシシシシシ」

屋久杉林の梢といえばこのヒガラ。屋久杉ランドの森の中などで、なんとなくいつも群れの気配がある。よくヤマガラと混群を作っている。好奇心が強く、人がいるとそばまで観察に来ることがある。
低く「チリリ、 チリリ、」
「チチピーチチピーチチピーチチピー」と甲高くせわしなくさえずる。0:05あたりと0:14あたりに混じるのはヤマガラのさえずりかもしれない。最後の0:20あたりでアオゲラが一声「ピーィ」と鳴く。

原生林の沢のそばでよく見かける。深い森に「ピロロロロロロロロ~」とよく響く声で囀る。以前は太鼓岩で聞いていると、森の深い白谷雲水峡にコマドリが、伐採跡の小杉谷にウグイスが分かれて囀っていることがあったが、だいぶ小杉谷の森が育った現在、鳥たちの分布はどうだろう?
「ピロロロロロロ~」
沢のそばで「チュチュ、チュチュチュ」と地味に泣いている。
ヒガラの「チチピーチチピー」に紛れて聞き取りにくい。

有力な果実食鳥で、屋久島はもちろん、日本列島の樹木の相当数がヒヨドリに種子を散布してもらっている可能性があるという。国内の野生植物の果実サイズが大きくても径1.5cm(アオキなど)以下なのは、ヒヨドリが食べやすいサイズによる制約ではないかとまで言われている。大型の果実はつついて食べるため、タンカン・ポンカン・ビワ・グアバなどの果実の大害鳥でもある。

里地に多いヤブサメに対し、コケの生すような深山の幽谷に多いのがミソサザイ。3月の春の雨の降りだしと主に元気いっぱいさえずり始めるが、そのフレーズは高らかに複雑に果てしなく続くため、聞きなしは困難だ。オスがメスを迎えるためにこしらえる巣には様々なコケが構造やクッションに使われており、たまに登山道などでも見ることがある。和名は「三十三歳」からきているようで、江戸時代の川柳にしばしば登場する。

屋久島にはスズメよりメジロが多いとよく言われる。冬から春にかけて里地のツバキやカンヒザクラなどの花の蜜を求めて、群れでにぎやかに駆け回っている。ツバキの花はメジロ用に作られたのではないかと思うほどサイズもデザインもぴったりで、観察していると花びらに小鳥の爪の跡がたくさん残っていることがある。
「チチィチュイチュイ、チュリチュリ、チュイチィチイ」

屋久島を代表する小鳥の一つ。好奇心が強く賢い。照葉樹林から屋久杉林まで広く分布している。この島にはなぜかシジュウカラが生息せず、その穴を埋めてヤマガラが活躍しているのかもしれない。エゴノキやシキミなど有毒な種をなぜか好んで食べる。また盛んに貯食を行う性質があるため、コケ生した大木に着生する樹木はヤマガラが「植えた」ものである可能性がありそうだ。
「びーいびーいびーい」が地鳴き、「ツツツビーツツツビーツツツビー」がさえずり。
「ツツピーツツピーツツピー」「ツピーツピーツピー」など。シジュウカラと同じように、さえずりに文法を持って、会話している可能性があるかもしれない。

